酒づくりは、お米を磨き、発酵させ、搾って終わりではありません。その過程では、米糠や酒粕、籾殻など、さまざまな副産物が生まれます。関谷醸造のおもしろさは、そうした“余ったもの”を余らせないところにあります。
たとえば米糠は、お菓子やおせんべい、パスタなどの材料として活用。酒粕は売店で販売されるだけでなく、料理にも使われます。さらに酒粕を使った焼酎づくりにも取り組み、梅酒の原料やアルコール添加にも活用しています。籾殻は堆肥になり、アグリ事業部の田んぼに戻っていきます。


さらに驚くのは、飼料への活用です。籾殻や糠、酒粕、くず米などを組み合わせた飼料は、地域の肥育農家へ。牛がそれを食べ、その排せつ物が堆肥となり、また田んぼへ返る。こうして資源が地域の中で循環していく仕組みがつくられています。ただ“もったいないから使う”のではなく、酒蔵と農業、畜産がつながる構造になっているのです。
唯一捨てるものといえば洗米のとぎ汁くらい、と語られることがありますが、そのとぎ汁さえ排水処理施設でしっかり管理されています。関谷醸造の酒づくりは、一本の酒だけで完結しません。お米を余すところなく生かそうとする姿勢そのものが、蔵の思想になっています。

